4/19(土)関西ダンマサークル「読書会」のレポートをお送りします。「沙門果経」の解説本で10回目の最終回でした。これまで勉強会にご参加いただきました皆様のおかげで、この本を読み終わるまで続けることができました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。今回の内容について個人の要約と感想レポートです。長文になりスミマセン、参考になれば幸いです。
▼2025年4/19(土)関西ダンマサークル「読書会」
・参加者17人
・まずはじめに大事な慈悲の瞑想を行いました。
・経典解説「沙門果経」の10回目
・第三部の神通の続き
・テキスト「沙門果経」仏道を歩む人は瞬時に幸福になる(サンガ新社、4,290円)
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・過去の生存を想起する智慧(宿命)
・ヴィパッサナー瞑想をしている人に、なぜ神通を語る必要があるのか?
・お釈迦様は、仏教の真理を知らず邪見に陥った人々や、超能力や神秘体験などが魂の本来の姿であると勘違いした修行者たちに対して、正しい心の仕組みを説く必要があった。
・仏教の目的(ゴール)は解脱であり、決して神通ではない
・神通には、それほど価値はない
・解脱にこそ価値がある
・解脱とは、苦しみを乗り越える道である
・ヴィパッサナー瞑想(自己観察)を実践してけば、輪廻・業の働き・因果法則・心の法則など神通を得て確かめる煩わしさを省略できる
・ヴィパッサナー瞑想で、解脱に必要な集中力や智慧などは揃う
・ヴィパッサナー瞑想では、気づきと集中力がある程度身に付くと、最初に物質の存在を派遣する。
・物質といっても、それはエネルギーの流れ。地水火風
・地水火風をすべて体験するのではなく、エネルギーを体験し「無常で無価値」という智慧が現れればOK
・地とは、硬さや重さ
・水とは、引き締める、くっつける
・火とは、熱
・風とは、動き
・心(知る機能)には過去世を見れる能力がある
・普通はどんな人にも自分の過去は見えない
・あらゆる煩悩で心が純粋な活動が妨げられているから
・心が清らかになり物質の制限を破り、柔軟で自由に活動できるようにすれ、いろいろなことを知れる。
・時間と空間の関係も、心と物質では違う。
・心には時空関係はない、心は時空に束縛されない
・一般的には、時間も空間も物質によって認識している
・心という認識の流れを、過去に遡り知ることができる。
・仏教で教える過去世を知る特殊能力は、妄想や推測や想像など曖昧なもではない
・明確で明瞭な経験としての過去世を知ることができる
・例:どんな名前か、そんな姿か、どんな物を食べていたか、どんな苦楽を経験したか、寿命がどれぐらいだったか、そこから死んで違うところに生まれたのか?など
・能力次第では、一生(ひとつ前の生)ではなく、何千でも何万でも何億生でも遡ることができる。
・今の地球ではなく前の宇宙や、またその前の宇宙の過去世でも知ることができる。
・過去世を知る能力は、一応解脱のためにも役に立つ
・過去を知れば、輪廻の恐ろしさ虚しさを目の当たりにし、無執着への智慧が芽生える。
・無始なるなる過去から、渇愛が命・生存を成り立たせていること、その残酷さを知る
・最初がない、スタートがない、起源(origin)がない、、それらは偏見であると発見する
・世間一般にある「前世が見える」は、デタラメでしかない ※信じたら騙される
・過去世を見るという特殊能力は信じがたいが、論理的な可能性を理解しておけばよい
・過去世を見るためには、物事の因果関係を知る必要がある
・現象は、ひとつの現象が消えると、新たにもうひとつの現象が現れる
・現象Aと現象Bには因果関係がある
・因果関係をわかりやすく言えば、順番です
・今ある現象は、その前にあった現象が消えて現れてきている
・現象の生滅の関係により、遡れる限りの過去を見ることができる
・これには訓練が相当必要になる
・現象がなぜ現れてきたのか、理由を探す能力が必要
・因果関係を見る訓練法が註釈書にある
・訓練するためには心が落ち着いていることが条件
・現象には連続性がある
・今の時点から、一日を初めたところまで思い出していく
・今の時点から順番に遡って思い出す。動画の逆再生のように
・記憶している断片を繋ぎ合わせるのではなく、ひとつひとつの現象を順番で遡っていく
・10分遡れる、30分遡れる、60分遡れる、180分遡れる、そのように訓練していく
・何事にも順番がある
・それを知るためにsati(気づき)の実践が欠かせない
・気づきがなければ、記憶をたどることができない(不可能)
・天眼(死生):業の法則により命の生死の行方を知る
・カルマの働きが見えてくる
・天眼は、過去世を見る智慧を自分ではなく衆生に向けること
・他の生命の生まれ変わり、過去と現在の繋がり・法則が見てくる
・生と死(生滅)の連続性を発見していなければ見えない
・心にはカルマという働きがある
・カルマは人間の理解範囲を超えている
・一般的には、善因善果、悪因悪果という
・業(カルマ)とは、行為ではなく意志のこと(※モチベーションのこと)
・意志が業である
・意志が善か悪かによって、善行為か悪行為かが決まる
・意志の強弱により、その結果の強弱も変わる
・五戒や十悪は、悪の意志でしか行えない行為の一覧
・たとえば手術は、肉体を傷つける行為であるが、病気を治すための医療行為であり悪行為にはならない
・どのような意志を持って行為しているのかが重要
・漏尽:智慧により煩悩・無知が消滅したと知る
・煩悩滅の智
・これまでの過去世を見る神通や業を見る神通では足りない
・「どこまで見えても、生滅変化していくだけ。命というのは絶えず起こる苦しみの連続である」と目覚め
・命に対して、また輪廻に対して、「うんざりだ」と嫌気がさして、諦めてしまうまで進む必要がある
・心は命が苦しみの連続であると無知で知らない
・なので、常に何かを探し続けている(生きたい/死にたくない、生存欲)
・それは「知りたい、知りたい」という強い衝動として現れている
・心は知る機能であるが、それが働いているのは、この「知りたい、知りたい」というのがエネルギー源
・刺激を欲しているともいえる
・「知りたい、知りたい」=渇愛
・苦の生起の原因は渇愛
・これにより認識は続いてしまう、心は流れ続け決して止まらない
・苦しみ(渇愛)を終わらすため、「一切の現象は無常である」と発見する必要がある
・仏法とは、存在に対する執着にあきれ果てるためにある
・それが苦の滅尽に至る智慧
・生存するために必死である俗世間には、仏法は受け入れがたい内容であることは事実
・しかし、苦しみをなくすためには煩悩(渇愛)の発見、真理(四聖諦)の発見が欠かせない
・真理(四聖諦)の発見により、生存への未練が絶たれ、解脱に達する
・そこで「生れは尽きた。梵行は完成された。なすべきことはなされた。もはや、この状態の他にはない」という漏尽智が現れる
・心という知る機能により、認識システムのバグが解消され、システム上に煩悩(執着)を発生させる回路や状態がないことを知る。終了したことを知る特殊能力
・仏道修行の最終的で最高の利益とは、まさにこの覚りに達したこと。解脱したことです。煩悩が消えたと自覚すること
・これ以上の精神状態はない、と自覚できると説かれています
・これまでの話をお釈迦様から聞いたアジャータサットゥ王は、心の仕組み、苦しみの仕組み、心が持っている能力、心を成長させる方法、苦しみをなくす方法、最終的な精神状態について、理解することができたようです。
・お釈迦様の話によって、自分が親を殺したという行為について、後悔してきたこと、悪行為であったことなど自覚することができました
・なので、とても喜びが起こったようです。後悔という苦しみを取り除く方法を知ったからです。素晴らしいことです。
・アジャータサットゥ王は、三帰依を宣言します。
・そして、自分が犯してしまった罪(悪行為)を反省し、ブッダを証人にして懺悔(罪を認め、二度としないと決める)します。
・そしてマガダ国の国王として責任を果たすため、仕事のために帰っていきます。
・王様が返ってから、お釈迦様へ比丘たちにこのように言います。
・「あの王は掘り出されている、あの王は破壊されている」と説明されます。
・勝手な意訳「あの若い国王は、残念ながら今ここで覚ることができませんでした」
・悟るための素質はあったにもかかわらず、自分の行為によってそのチャンスを逃してしまったと
・ただ懺悔したので、その効果によって智慧の種は獲得したのではないかと思われます。
・お釈迦様は「生命の最高の師(指導者)」として、見事に責任を果されました
・そして相手の心の流れが変わってしまったのです。
・仏教の内容が網羅された経典だったと思います。面白かった!
以上
経典の物語としても、教えの内容としても、大変面白く学びになりました。小難しい経典を、このように解説してくもらえたら、人類の役に立ちますね。経典には、もっともっと様々な角度から教えの内容を解説しているものがあるようです。自分で読んでみてることも勉強になると思います。この一冊を読み終えるまでに、かなり時間がかかりました。お付き合いいただき、ありがとうございました。
次回、関西ダンマサークルは5月18日(日)です。新しいテキストはリクエストもあり、「瞑想経典編
(初期仏教経典解説シリーズII)」を読み進めていきたいと思います。中部117『大四十経』(八正道大全)から始まります。お楽しみに!
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文章:MA
撮影:LL






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